仙台あおば市民大学

 私が目指す、「智慧」の分かち合いに取り組む見本的な活動だ。それも、活動の中心人物の方々は、失礼かもしれないが私たち世代。その人たちの”発”、つまり、「志」から始まっているのが面白い。「志」に年齢は関係ないと考えるが、やはり、年齢にふさわしく、それ相応の経験知とネットワーク力によって支えられている活動には、継続性と発展性があると思える。私にも自信を与えてくれた。

本大学は、最近の国内外における社会的課題やその課題解決の情報共有、国連が採択したSDG’s(持続可能な開発目標)にある世界的社会情勢を取り巻く諸課題等に対して、仙台あおばの会メンバーである各分野の学識経験者を中心とする有識者、地域で社会貢献活動を実施している方々からの情報提供を受けることによって知識や理解を深め、市民の意識やスキル向上に繋がる支援をし、共に高めあっていくことを目的として活動しています。 

あおば市民大学HP

 この大学の主宰者の一人である齋藤忠夫先生は、ある専門(腸内細菌)の世界では超有名人で、TV番組「世界でもっとも受けたい授業」やNHKの「あさイチ」や「ためしてガッテン」などの出演するほどの先生である。

 私は、仙台の市民リーダー育成塾を立ち上げ時に、事務局として参加し、講師として参加した斎藤先生にお会いした。もちろん、斎藤先生のお名前はお伺いしていたが、何をされている方かは知らなかったのである。初めてお会いした時、そのやわらかい物腰と話し方に、「いい人だな」との第一印象を受けたことを覚えている。

 その斎藤先生をTV番組で拝見した時には、正直、驚いた。その時、斎藤先生が「腸内細菌」の専門家、ましてや、その世界では知らない人がいないほどのレベルの持ち主だと初めて知ったのである。

 その後、何度か斎藤先生とお会いする機会を得たが、初めてお会いした時の「いい人だな」という印象は、薄れることはなかった。ネットワークを構築し、広げていく上では、その中心となる人物のありようを教えてくれていると感じている。

 2022年6月時点での、オンライン授業は、毎月2回の開催を基本として積み重ね、21回を数えている。授業内容は、その目的にふさわしく、障がい者支援や不登校問題、家族間の問題、貧困問題などに取り組んでいる仙台市のNPO団体や学者など、多彩な内容と多様な人々が参加し、講師として、その「智慧」を無償で分かち合ってくれている。これが素敵だ。

 21回目のオンライン授業を、初めて受けた。そのきっかけは、私を「新宿駆け込み寺」の玄さんとを結びつけた織笠英二さんとの再会である。新宿で開かれた「駆け込み寺20周年記念イベント」で会ったのである。

 その織笠さんから、「あおば市民大学」で講師をするので、「よかったら観てください」とのメールが届いた。私は、直ぐ、視聴することを決めた。私の肌感覚であるが、「駆け込み寺」との出会いを通して、織笠さんは「良い縁と繋いでくれる」との感じがあったからである。

 一般社団法人東北駆け込み寺代表理事を務める織笠さんは、あるIT企業で働いていた。しかし、2011年の東北大震災でのボランティア活動を経験し、その時の生じた想いを大事にして、定年退職前に企業を退職したのである。その後に選んだ人生の道は、復興庁宮城復興局の復興支援専門員という歩みである。2025年で復興局は解散するが、被災した人々のこころの問題への取り組みは、ず~っと続けていきたいと語っている。

 そうした織笠さんの周りにも、同じような志をもった人が集まってくる。特定非営利活動法人「仙台支え愛サポートセンター」代表理事の新井 純さんもその一人だ。とにかく、明るいのが良い。

 これからも、おじさん達の社会課題解決に取り組む「志」と、その行動力とネットワーク力、そして、その笑顔を、私自身が身につけねばと思わせる出会いであった。そして、人との出会いには、きっと良き縁につながると感じさせる人間力を、まず、身につけねていくことが大事であると、自戒を込めて自分自身に誓ったのである。

左から 野崎泰弘 織笠英二さん 新井 純さん