「伊勢神宮の空」

 ようやく、伊勢神宮を訪ねることができた。日本の三大神宮と言われる「鹿島神宮(茨城県)」「香取神宮(千葉県)」そして、伊勢神宮(三重県)」。この3つの神宮を、今年中(令和4年)に参拝させていただきと神さまに願ったのが3月だった。鹿島神宮と香取神社は、同じ時期の3月に参拝できた。が、伊勢神宮参拝は、なかなか縁が出来なかったのである。参拝は何時でも出来ると思ったら、大間違い。気が付いたら11月中旬。「神様との約束を破ってしまう」と、ふと思い、前の晩、突然、妻に宣言した。「明日、8時30分の電車で伊勢神宮に行ってくる」。もちろん、当日の朝は、妻との大喧嘩でスタートした。「本当に、あなたは自分勝手なんだから」。

 伊勢神宮への参拝は、取材の時が、最も多い。何回行ったか忘れているが、平成25年10月の遷御の取材は恥ずかしい想い出が溢れていて忘れがたい。遷御が終わるまで酒を呑んでいて、その後、酒の臭いをまき散らしながら、インタビューカメラを回していたのだ。すいません。

 職場のレクレーションでも来たことがあるが、個人での参拝は2度目だ。初めて、伊勢神宮を参拝したのは、昭和55年の秋だったと記憶している。初めてのボーナスで両親を東北の地から連れて出して来たのである。何故、旅行の行き先を伊勢神宮にしたかと言えば、それは、父親が戦争に召集を受けた際、伊勢神宮を参拝してから戦地に赴いたと聞いていたことと、母親は、参拝したことがないということが、その後押しになった。大正生まれの二人にとって、伊勢神宮を参拝すことは、特別な何かがあるのだと思う。

 「なにごとの おはしますをば しらねども かたじけなさに なみだこぼるる」西行

 自然豊かな神宮での祈りと、細かい記憶は無くなっているが、両親との思い出は、私のこころを浄心に近づけたようだ。

 「なにごとで おこっているかは しらねども もうしわけなさに なみだこぼるる」泰弘

「自分勝手でごめんなさい。赤福で勘弁して」