「資本主義」から「志本主義」への転換を教えてくれた大久保惠司さんの、データ収集力は最高だと思っている。そのデータに裏付けされたマーケティング世界の将来予測は、「よげん」を越えて真実であると思わせるほどの圧倒力である。
つい最近、現在の各種セミナーは、どんな感じなのかな、と思い、さまざまなセミナーに参加している。現在は、オンラインでのセミナーが多く、地方都市の住人としては、大変、ありがたい状況になっていると感じている。その、ひとつのセミナーで素敵なコメントにであった。
「未来を予測する最善の策は、創造することである」
そうである。「SOCIALING LAB LLC」の大久保惠司さんは、それを、成しえる人の一人なのだ。それは、私が「よげん」する。ある「経営者の塾」でのお仕事で関わり、さまざまなチャレンジを一緒にさせていただいて感じることだ。ひとつのグループに人が集まり、それが、ある意味での組織化されていくと、立ち上げ時に掲げた使命や目的中心から、組織運営が活動の目的になりやすいのは、どの組織も通過する儀式儀礼だと感じている。子供から大人になる「通過儀礼」なのだ。私が、アフリカのケニアで撮影した村の大人になる「通過儀礼」は、親元から離れ、ひとりで生きていくために村を離れる。そして、他の村の牛を盗んだり、ライオンと戦ったりを経験し、村に戻ってくる。すると、もう大人として認められ、結婚することが許されるのだ。その彼らが、カラフルな戦士の服装で、どこからともなく表れてきて、乾ききった河沿いを数名で歩いてくる姿を、望遠レンズで撮ったのは最高であった。人の重なりが良いのだ。
話は飛んでしまったが、その「通過儀礼」には、その仕組みを決める洞察力が大切である。「何をもって通過儀礼とするか?」。ある組織(グループ)の「通過儀礼」とは何か。それは、伝統的な慣習にするか、革新的に創り出していくのか、考えも行動も、必ず意見が別れるところである。私は、その「間」に挟まれつつ、伝統的な「通過儀礼」を受け入れて、また、自分で「自分の通過儀礼」をひとつ決めて、その二つにチャレンジしていくことを「通過儀礼」とするのが良いのではないかと思う。つまり、二項対立を乗り越えるために包含していき、その混ざり具合(化学反応)から新たな価値を創造していくことを、大人になるための「通過儀礼」とするのだ。
大久保さんは、世界と日本の現状を、さまざまなデータをもって「よげん」する。まず、現状と変化の二項軸を明確にし「あなたは、このデータから、何を創造していきますか?」との問いを眼の前に広げてくれる。そのデータに基づく予言は、毎年、およそ20項目くらいだ。ひとつの予言でも大変なのに、年間、20項目ほどの「よげん」を提示できるのだから、並大抵の情報収集力と分析力ではないと云わざるを得ない。そして、もっと凄いと感心するのだが、データ分析の視点にブレがないのである。データとは面白いもので、厳格な数字で予測しても、すべてがその通りになるわけではない。ある意味、そのデータ分析から予測された一面を、結果の全て見るか一部分と見るかは、その視る人の都合で決まると考えている。だから、データを、どの視点で見る人なのかを確認した上で、その「よげん」を噛みしめるのである。データに「よげん」があるのではなく、そのデータをもって「よげん」するその人の言葉と行動を見て、判断するのがベストだと考えている。
「人はモノを買っているのではなく、経験を買っているのだ」というのは消費行動を理解する上で大切な考え方だと思います。で、あるならば、マーケティングとは、その経験価値を創造する事に他なりません。つまり、UX(user experience)の価値創造です。経験には行動が伴います。では、人はなぜその行動(behavior)を起こすのか?社会心理学者のK・レヴィンは、「行動(bihavior)」は、その人の「個人的要因(personality)と「環境要因(environment)」に左右されると説明しています。その行動による経験に価値を感じるとき、その経験は人の感情(emotion)と深く結びついています。「emotion」と心のゆらぎであり、「Sense(感覚的経験値)」「Feel(情緒的経験価値)「Think(創造・認知的経験価値)」「Act(肉体的経験値)」「Relate(所属集団、文化の経験価値)」に大別されます。(バーンド・H・シュミット)つまり、UXの価値創造をするためには、personality、environment、emotionに対する洞察が必要となります。
SOCIALING LAB LLC紹介リーフレット「マーケティングとは経験価値を創造する事」より
だから、「志本主義」を提示する大久保さんと一緒に仕事をするのが、うれしいのだ。何時かは、薫重といわれるように大久保さんの姿勢を、そして、能力を身と心に染み込ませたいと願っている。
「未来を予測する最善の策は、創造することである」