きれいにするためには、逆に、汚すことが大事

ノーベル物理学者 天野 浩

 私は、この理論思考の持っていき方が好きだ。簡単に説明すれば、「きれい」は、何をもって、その存在を説明するか、とういことである。「汚れ」があるからこそ、「きれい」という存在がある。「量子論」や「電波の特性」を学べば、簡単に理解ができる。松岡正剛氏の本にこう書かれていた。

「雑音があるから、正式な電波をキャッチできる」

 これだけの意識を得ることで、世界の現象は変わると思う。ただし、戦争があるから平和があるという思考の持って生き方は嫌いである。そんな単純な世界じゃ、生まれてきた意味がない。簡単じゃない世界だから面白いと思う。