「9月17日の東京の空」

 この日は、私にとって4年近くの準備を経て開催される大事なイベントの日だ。この日付を一生忘れることはないと信じている。「過去にこれほどの大型台風はない」と言われ、ニュースでは、早朝から、そのニュースが放映されていた。朝早く目が覚め、宿のお風呂で身を浄め、準備のために早めに出た時に、私を迎えてくれたのが、さわやかな朝日である。「あぁ、ありがとう」と、思わず合掌した自分がいた。会場に向かうまでにいろいろなことが、一歩一歩の歩調に合わせるように脳裏に浮かんできた。

 たとえ、準備に2年3年かけてきても、イベントが始れば、企画された時間で終わってしまう。その感覚が、私は大好きなのである。「終わりがあるから始まりがある」。一から創りあげていき、常に新しい試みに挑戦する。その機会をいただいていることに感謝したい。

 そのイベントに参加した人の人生のなかで、この日がどのような影響を与えるのか。その影響が、その人の人生の物語で、どんな伏線になっていくのか。それを想像することが、イベントプロデューサーの最大の報酬であると信じている。だから、40数年以上たった今でも、楽しくて仕方がないのだ。